本日、2025年4月25日、直属の上司に対して早期退職の意思を正式に伝えました。
ちょうど30年間勤めた会社です。これまで、さまざまな経験を積み、多くの仲間とともに歩んできたこの場所を離れるのは、決して軽い決断ではありませんでした。
これからは、後任が決まるかどうかにかかわらず、円滑な業務の引き継ぎに専念していきます。自分にとっても、会社にとっても悔いのない形でこの一区切りを迎えられるよう、丁寧に準備を進めていくつもりです。
今回、早期退職を決断するに至った理由は、いくつかあります。
最も大きな理由は、家族の健康と生活環境の変化です。
この10年間、妻はリハビリと治療を続けてきましたが、残念ながら今もなお後遺症が完全に癒えるには至っていません。見た目には普通に生活しているように見えても、本人にしかわからない痛みや不自由さがあり、そばで支える存在として、私自身がもっと柔軟に動ける環境を整える必要性を強く感じるようになりました。
また、昨年には父が急逝しました。
事前に覚悟はしていたものの、実際に父を失った喪失感は想像以上に大きなものでした。加えて、残された母の生活が気がかりです。高齢となった母は、これまで父と支え合いながら暮らしてきましたが、表面上は気丈に振る舞いながらも、寂しさや体力の衰えに直面し、日常生活に小さな困難が生じている様子がうかがえます。
これまでのように、仕事を最優先にして母を頻繁に訪れることができない生活を続けるのは、今後ますます難しくなるだろうと実感しました。
そんな中で、今こそ「家族のそばにいるべき時期」だと、改めて強く認識したのです。
経済的な面も、今回の決断を後押ししてくれました。
ありがたいことに、これまで堅実に働き続け、少しずつ蓄えを積み重ねてきたおかげで、今後無理をしなければ生活に困ることはないと見込んでいます。
また、娘たちも成長し、それぞれが自立に向けてしっかり歩み出しています。子育てにかかる直接的な負担も減り、家族全体のライフステージが変わったことも、大きな節目となりました。
一方で、ここ数年、会社員という働き方そのものに対する魅力が薄れてきたことも否めません。
もちろん、仕事を通じて得られる達成感や仲間との連帯感は、今でもかけがえのないものだと思っています。
ただ、組織の枠組みの中で役割や評価に応え続けることに、徐々に息苦しさを覚えるようになりました。
若い頃は「もっと上へ」と高みを目指すことにやりがいを感じていましたが、今は「もっと自由に、もっと自分らしく生きたい」という思いが強くなっています。
そして何より、まだ体力と好奇心が十分にある今、もっと広い世界を自分の目で見て、感じてみたい。
その思いが、今回の決断を最終的に後押ししました。
これまで、仕事に追われ、まとまった休みさえ取ることが難しかった日々を振り返ると、「時間ができたら行こう」と心に描いていた場所は数え切れません。
異国の文化に触れ、人々と交流し、美しい自然を感じる旅に出ることは、私にとってかけがえのない経験になるはずです。
そして、いつか健康や体力に不安が出たときに、「あの時、思い切って行動してよかった」と心から思えるように、今このタイミングを逃したくないと強く思いました。
明日からはゴールデンウィークが始まります。
せっかくの連休、まずは一度、仕事のことを頭から切り離して、心身ともにリフレッシュする期間にしたいと思っています。
ここ数ヶ月は、仕事への責任感からかなりの緊張感を抱えながら過ごしてきました。
特に退職を意識し始めてからは、周囲への伝え方や影響を考えるあまり、気持ちが張り詰める日々が続いていました。
今は、ようやく一歩踏み出した安堵感と、これから始まる新しい生活への期待感が入り混じっています。
もちろん、退職後の生活に不安がないわけではありません。
社会との接点が減ることで感じる孤独や、日々の充実感をどう保つかといった課題もあるでしょう。
しかし、それらを恐れて立ち止まるのではなく、自分自身が主体的に選び取った道を信じて進んでいきたい。
今はそんなふうに考えています。
これからの人生、家族との時間を第一に考えながら、学び直しや趣味、そして新たなチャレンジにも積極的に取り組んでいきたいと思います。
今まで後回しにしてきたこと、興味を持ちながらも手をつけられなかったことに、一つひとつ向き合っていける。
そんな時間を持てることは、何よりの贅沢であり、同時に大きな責任でもあると感じています。
退職の意思を伝えた今日という日は、私にとって新たな門出の日です。
これまで支えてくれた家族、仲間、そして会社に心から感謝しつつ、これから始まる「第二の人生」に向けて、前向きな一歩を踏み出していきます。
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